 
愛撫
「・・・どうした?」
ふと寄せていた肌からくちびるを離すと真澄は顔を上げた。
薄紅色に染まった彼女のまぶたが開かれ、濡れた瞳が自分を映す。この上なく扇情的でありながら
どこか幼く穢れなき光に、男としての征服欲が掻き立てられる。
「・・・何がつらいんだ。そんなはずはないだろう」
首筋に顔を埋め、張りつめた白い双丘を掌で覆った。
汗で湿った乳首をそっと指の腹で擦ると、魚が跳ねるように体を震わせた。しこりだったそれをきつく
吸い上げ、歯をたてた。

「いや・・・」
「嘘をつくな」
「だって、いつもいつも・・・」
「何だ」
「もうちょっと・・・優しくしてくれても・・・」
思いがけない言葉に真澄は眼を開く。
この世で一番愛しい女を抱いているというのに、どうしてその行為を責められなくてはならないのか。
ちょっと不機嫌そうに見つめ返すと、マヤは潤んだ瞳をしばたかせて呟いた。
「時々、だけど。最初はすごく優しいのに、途中から急に乱暴になるでしょう・・・?」
「そんなことは・・・」
言いかけて、すぐ射すくめるようなその大きな瞳に睨まれ後の言葉を飲み込んだ。
こればかりは自分の意思とは無関係に働く超自我のようなものだから、言い訳のしようがないのだ。
彼は息を吐き、不承不承答えた。
「わかった・・・これからはなるべく気をつけるよ。だからもうそんな眼で見るな」
<Fin>
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