花の宵 2


「うわぁ・・綺麗・・」

「ライトで照らされた花が夜空に浮かんでいるようだな。
昼間とはまた違った趣がある」

「私、夜桜って初めてなんです。なんだか幻想的ですね。
まるで夢みたい・・
あ、なんかありましたよね、そんな言葉。
ただ春の夜の夢の如し・・・でしたっけ」

「ちびちゃんからその一文が出てくるとは驚きだ」

「つくづく失礼ですね、速水さん。
私だって高校出てるんですから、紫のバラの人のお陰で」

「ああ。だが紫のバラの人は君の通知表はもらえなかったはずだな、確か」

「そういうことばっかり覚えてるんだから」

「君のことなら何だって覚えてるさ」

「どうせならもう少し良いことを記憶に残してください!」

「ははははは・・では良い思い出はこれから二人で作っていこう。

春の夜の夢のように儚いものではなく、確かなものを・・な」



<Fin>